腱鞘炎の原因は筋膜にある
腱鞘炎の原因としてよく言われているのが指や手首の使いすぎです。
使いすぎによって腱の部分に炎症が起きるので、痛みが出てきます。
ですので整形外科での治療としては炎症を抑えて安静にする事で、痛みを解消する事になります。
確かにそれで良くなる人もいます。
でも腱鞘炎はそれだけでは良くならない事の方が多いです。
なぜなら腱鞘炎の原因は腱だけにあるわけではないからです。
だからいくら腱の部分の治療をしても良くならないんです。
腱鞘炎の原因となるのは実は「筋膜のアンバランス」にあります。
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筋膜が引っ張られると腱に負荷がかかる
筋膜には様々な機能があります。
筋肉や内臓を覆ってそれらの機能を調整したり、触覚や痛みの感覚を司るセンサーであったり、全身を連結する事でバランスを取ったりと、実に多くの機能がある事が分かっています。
逆に言うと筋膜が硬くなるとこれらの機能に不具合が出てしまい、様々な問題が出てきます。
例えば筋肉が硬くなったり、内臓機能が落ちたり、身体が歪んだり、痛みのセンサーが誤作動を起こしたりしてきます。
その中でも特に重大な問題なのが、ある特定の部分に負荷がかかりやすくなる、という事です。
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なぜ腱鞘炎が起こってなぜ再発するのか?
例えば肩の筋膜が硬くなると、手首や指の方へ連結している筋膜が引っ張られてしまいます。
そうすると手首や指にはいつも以上に負荷がかかりやすい状態になります。
そんな状態でフライパンを振ったり、子供を抱っこしたり、スマホをいじったりしていると手首や指に痛みが出てしまいます。
これが腱鞘炎のメカニズムです。
腱鞘炎になってしまう人は、このようにどこかに硬くなった筋膜が存在しています。
腱の部分の炎症を取るような治療だけでは腱鞘炎が良くならなかったり、すぐに再発してしまうのは、
そこに負荷がかかりやすい筋膜のアンバランスにアプローチしていないからなんです。
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腱鞘炎の解消には筋膜へのアプローチが必要
腱鞘炎の治療で大事なのは、どこかにある硬くなった筋膜を探し出す事です。
これには特徴的な問診や触診などを行わないと見つけられないんです。
時間をかけて硬くなった筋膜を見つけ出し丁寧に緩めていくと、筋膜のアンバランスが改善されて、手首や指の負荷が減ります。
その結果、手首や指の痛みが解消されます。
軽症な場合は、硬くなった筋膜が1〜2ヶ所くらいで済みます。
しかし経過が長かったり広範囲の痛みだったり再発を繰り返している腱鞘炎の場合、かなりの部分の筋膜が硬くなっている事がほとんどです。
それを一つずつ見つけては緩めていくのを繰り返す事で、根本的な腱鞘炎の解消につながります。
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手首の腱鞘炎【改善症例】
どのような痛みだったか?
【現在の痛み】
左手首の痛み
【痛む動き】
テニスのバックハンドのインパクトの時。それ以外では運動や日常生活では痛みはない。
【来院理由】
3年前くらいからバックハンドを打つ時に痛み出した。悪化はしていないがサポーターをしないと痛むし、不安で思いっきり打てない。
【過去の既往歴】
怪我や骨折はない。内科や耳鼻科の既往歴もない。今まで痛みがあった部位もない。
施術内容
①前腕の後ろ側、真ん中より少し上
ここを緩めると9割くらいは痛みが解消。
②肩甲骨の内側
ここの施術によって残った1割の痛みも解消。
ラケットを持ってバックハンドの素振りをしても痛みはない。
(来院時にはこの素振りでもかなりの痛みがあった)
なぜ痛みがなくなったのか?
今回のケースの場合、過去の既往歴が特になく手首の痛みが初めての痛みでした。
今まで怪我なども無かったため、全然治らない事が不安。
今まで色々な治療を受けてきたが良くなっていない。
とのことでした。
今回の場合既往歴がないため、肩甲骨や胸周り〜手まで細かくチェックしました。
そして上述した①②の部分に筋膜の硬さがあったため、施術し痛みが解消されました。
やはり痛む部分には何もなく離れた部分が原因でした。
このように手首の痛みに影響しているであろう既往歴がない場合は、一つずつ丁寧に触診していく必要があり、そうすると硬くなっている部分が見つかります。
そのため触診にどうしても時間がかかってしまいますが、関係のないところをやっても全く症状は変わらないため、ほとんどの時間をかけてでも原因を見つけ出すことに注力します。
今回も痛みが解消されて本当に良かったです。
ちなみにこの方は当院の患者さんからの紹介でした。
同じように手首の痛みがあって、筋膜調整で良くなったため紹介されたとの事でした。
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