腱鞘炎の解消には手や指の負荷を減らす事が大切
筋膜調整では特徴的な問診や触診によって原因となっている筋膜を見つけ出し、その部分を緩めていく施術になります。
筋膜が緩むと全身の筋膜アンバランスが修正され、手や指にかかっていた負荷が取り除かれます。
何らかの原因によって筋膜が硬くなると、周囲の筋膜を過剰に引っ張ってしまい、その異常な張力が広がることで色々な部分に負荷がかかり痛みが出てきます。
腱鞘炎で言えば、手や指にかかる負荷こそが本当の原因であり、腱鞘炎の治療目的はこの負荷を取り除く事になります。
今回のコラムでは、原因となっている筋膜がどのような状態になっていて、どのような操作を加えるのかという事を説明していこうと思います。
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筋膜が硬くなる状態とは?
筋膜はコラーゲンで出来たシートが3枚重なって状態になっています。
その層と層の間には、ヒアルロン酸という潤滑油が敷き詰められています。
筋膜が硬くなるというのはこの3層のシート、そして潤滑油のシートに異常がある状態になります。
コラーゲンのシートはコラーゲンが網目状に広がっています。
この網目に適度な空間があって余裕がある状態が正常な筋膜です。
しかし何らかの原因でこの網目の空間が狭まるように密になると、筋膜は硬くなります。
またコラーゲンシートに挟まれている潤滑油の部分は本来サラサラしていて、筋膜の滑らかな動きを支えています。
しかしこれも何らかの原因によって潤滑油がネバネバになると、やはり筋膜は硬くなります。
逆に言えば、筋膜が硬いという状態は、コラーゲンが密になったり潤滑油がネバネバしたりしている状態という事になります。
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筋膜を緩めるには「熱刺激」と「物理的刺激」が必要
筋膜調整ではこの密になったコラーゲンとネバネバした潤滑油の解消を行います。
それによって筋膜が緩み、異常な張力が解放され、手や指にかかっていた過剰な負荷を取り除きます。
密になったコラーゲンとネバネバした潤滑油を改善するには「熱」と「物理的刺激」が必要になります。
具体的には悪くなった筋膜の部分に指や肘を押し当てて、筋膜を「擦り」ます。
擦ることによって筋膜に物理的な刺激が加えられ、さらには摩擦熱によって熱刺激も加えられます。
このような刺激を3〜10分ほど加えていくと、まずコラーゲン線維がほぐれて正常な密度に戻ります。
そしてヒアルロン酸もネバネバからサラサラになっていきます。
結果として筋膜は緩まり、手や指の負担が減り、腱鞘炎が解消されていきます。
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硬くなった筋膜は過敏になっている
硬くなった筋膜は痛みのセンサーが誤作動を起こしているので、治療の最初は痛みを伴います。
よく強く押してるとか骨の上をやってる、と言われる事も多いですが、そんな事はありません。
正常であればただ押されて動かされてるなというくらいの強さなのですが、硬くなった筋膜は過敏です。
ですが筋膜が緩み正常になってくるとこの誤作動もなくなり、治療部分の痛みも薄れていきます。
ご本人自身が変わったと感じるくらいわかりやすい変化を感じます。
そしてそれがその部位の治療終了の目安になります。
ただしどうしても治療部分の痛みが強過ぎる場合は、更に弱い刺激で始めるか、あるいは痛みの少ない別の部分から緩めていく事もできます。
ですので我慢できない場合は遠慮なく言ってもらっています。
治療ポイントはだいたい3〜5ヶ所になる事が多いです。全て緩める場合もあれば、一ヶ所だけで他の部分が緩み、腱鞘炎の痛みも緩和される事もあります。
逆に頑固な硬さであれば、一ヶ所もなかなか緩んでこない事もあります。
このように硬くなった筋膜を見つけ出し緩めていき、手や指の負荷を取っていくのが筋膜調整になります。
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