患部には原因はない
筋膜調整では、痛みのある患部に対して直接施術する事はありません。
なぜならこれまでのコラムでもお伝えしているように、患部は「結果」であって「原因」ではないからです。
確かに使い過ぎによる痛みなどでは患部に炎症が起きている事もあります。
ですが安静や鎮痛剤でいくら患部の炎症を抑えたとしても、スポーツや仕事、家事などでその動きを再開すればまたすぐに再発してしまいます。
そのため筋膜調整では、なぜ患部に症状が出ているのか、どこからの影響で症状が出ているのかを探っていきます。
そのどこかにある筋膜の硬さによって筋膜のバランスが崩れ、結果として手首や指に負担をかけてしまっています。
筋膜調整の目的はその筋膜の硬さを緩める事で筋膜のバランスを正常化して、患部にかかる負荷を減らしていくことになります。
そうすると痛みはもちろん改善されますし、スポーツや仕事、家事を再開しても再発する心配がなくなります。
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腱鞘炎で原因となりやすい部分
手首や指の腱鞘炎では人によって原因部位がバラバラですが、その中でも特に硬くなっている事が多い部分があります。
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①親指の付け根、手首の親指側の痛みの場合
この辺りの部分が原因となる事が多いです。
②手首の小指側の痛みの場合
この辺りの部分が原因となりやすいです。
どこをチェックするのか?
どこが原因になっているかはもちろん最終的には触診によって判断していきますが、その触診もどこに重点をおくのか、それはこれまでの既往歴によって判断します。
例えば小指の骨折や重度の突き指をした事がある人は、指周りから手首に負担がかかる事が多いです。
なので指周りを入念にチェックします。
交通事故で首のムチウチをやった事がある人は首から肘にかけてよくチェックします。
子供の頃から首肩こりがある人は、やはり首から肘あたりを見ます。
喘息や気管支炎、中耳炎や耳鳴りなど内臓の不調や耳鼻科などの既往歴がある方は、体幹部分に筋膜の硬さがある事が多いです。
首や胸、背中や肩甲骨周りを入念にチェックします。
このように問診で過去の既往歴からどこに筋膜の硬さがあるのか、そしてどこからの影響で手首や指の負担がかかっているのか考えながら、触診で判別していきます。
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特に重要な既往歴とは?
上にも書いた通り、過去の既往歴が現在の痛みに大きく影響しています。
その中でも特に重要な既往歴は以下の通りです。
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①骨折、ギプス固定
筋膜は動かさないと硬くなります。腱鞘炎の場合、多いのは指や鎖骨の骨折の既往歴です。
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②交通事故などによるムチウチ
事故当時に症状がなかったとしても、首周りの筋膜が損傷している事があります。
それが原因で数年後に腱鞘炎として症状が出てくる事もあります。
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③耳鼻科や目の疾患
耳鼻科などの疾患は首肩の筋膜の硬さにつながります。
内耳や鼻の中にある筋膜が首肩の筋膜と連結しているからです。
特に多いのは重度な中耳炎や繰り返す中耳炎や鼻炎などです。
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④喘息や気管支炎
肺や気管支、甲状腺や心臓などの内臓も体幹の筋膜に連結しています。
小児喘息などがあった場合、胸周りや背中の筋膜が硬くなりやすいです。
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⑤子供の頃から首肩こりがある
子供の頃から首肩こりがあると言うのは身体としては筋膜の硬さがある証拠です。
これが長い時間をかけて手首や指の緊張を強めていきます。
この他にも筋膜を硬くしてしまう原因はありますが、特によく見られるのはこのような既往歴です。
このように腱鞘炎と言っても原因となる部分は様々ですし、極端な話、足から影響する事もあります。
ですが大抵は首、肩、胸や背中など体幹、肘周り、指周りにあります。
症例報告でもあげてますが、テニスで同じような手首の痛みがあったとしても、原因が指の骨折にあったり、肩甲骨の異常運動にあったり、顎の調子が悪かったりと様々です。
そのため施術する部分も全く違いました。
このように筋膜調整の特徴として症状に対しての対症療法ではなく、それぞれの人の原因を探って根本的な施術を行なっていくというのが大きな特徴になります。
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