通常の足底筋膜炎治療
朝立ち上がる時、歩き出しなどに踵が痛いという症状があれば、それはもしかしたら足底筋膜炎かもしれません。
朝の裏には足底筋膜というバンドがあって、足のアーチを維持したり、体重を分散させたり、クッションの役割などがあります。
整形外科では様々な原因によってこの足底筋膜の付着部などに炎症が起きてしまい痛みが出る、と言われています。
ですので治療としてはまずは安静、そして痛み止めやサポーターの使用、インソールの使用、そして重症の場合は炎症部分にステロイド注射をする事もあります。
こういった治療で改善されるケースは確かにありますが、ほとんどが軽症の方です。
ですが実際には、安静にしていると痛みは減ってきたけどスポーツや運動を再開したらまた痛くなった、と言うケースが本当に多く見られます。
だから思いっきり動けなかったり、最悪の場合その競技から離れ去るを得ない方もいます。
なぜこういう事が起こるかというと、その理由は単純で「踵や足底筋膜自体には原因がない」からです。
本当に足底筋膜の炎症に原因があるのであれば、その炎症を取りさえすれば痛みは無くなるはずです。
しかし実際にはそれで良くならない方が多いんです。
またインソールを入れたり足や足首の矯正をしたりしても効果が少ないケースもよくいらっしゃいます。
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足底筋膜炎の本当の原因とは?
では何が原因で踵や足裏に痛みが出てしまうのでしょうか?
それが「筋膜」なんです。
筋膜は全身を覆っていてつながっています。
そして全身の張力(=引っ張る力)を調整しています。
そこで体のある部分に筋膜の硬さが出来てしまうと、筋膜の張力のバランスが崩れてしまい、特定の部分に強い負荷がかかるようになってしまいます。
このような原理で足裏の筋膜に負荷がかかって痛みが出ているのが足底筋膜炎の正体です。
ですので体のどこかにある硬くなった筋膜を緩めない限り足裏への負荷が無くならず、痛みが改善されることはありません。
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どこが原因となるのか?
足底筋膜炎の場合どこが原因となるかと言うと、多くは下肢のどこかになります。
骨盤周り、股関節周り、ふともも、膝周り、すね周り、ふくらはぎ、足首周りなどのどこかに硬くなった筋膜が存在している事が多いです。
特に片側だけの足底筋膜炎や過去に腰痛などが無かった方は、足底筋膜炎が出てる側の下肢の施術で改善される事が多いです。
ですが筋膜は全身を覆って連結しているため、下肢だけに原因があるとは限りません。
人によってはお腹や背中、首や顎周りなどに原因がある事もあります。
そのような方には特徴的な既往歴があるのですが、それはまた別の機会にお伝えする予定です。
このように全身どこにでも足底筋膜炎の原因が存在する可能性があります。
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どんな治療をするのか?
硬くなった筋膜を緩める方法も独特です。
硬くなった筋膜は熱刺激と機械的な刺激の両方がそろっていないと緩まないという特徴があります。
具体的には硬くなった筋膜部分に肘や指で押し当てて圧をかけます。
その圧をかけたまま、上下・左右・斜めに「擦り」ます。
こうする事で擦るという「機械的な刺激」と摩擦熱による「熱刺激」を同時にいれる事ができ、3〜5分続けると筋膜がほぐれてきます。
こんな感じの方法で硬くなった筋膜3〜5ヶ所ほど見つけ出してしっかりほぐしていくと、筋膜のバランスが改善され、足裏の負荷が減り、痛みが解消されていきます。
もしなかなか治らない足裏の痛みでお困りでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
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執筆者
山﨑 智史(やまざき さとし)
保有資格
理学療法士・鍼灸マッサージ師
講習会参加歴
筋膜マニピュレーション国際コース 全コース修了(延200時間以上)