梨状筋症候群とは?
梨状筋(りじょうきん)症候群とは、お尻にある梨状筋と言う筋肉の緊張により、その間を通る坐骨神経が圧迫されてしまい、脚の痛みなどが出てくるという疾患です。
症状はお尻の外側からももの裏側の痛みが主な症状です。
ひどい時には痺れが広がる事もあります。
特徴としては、長く座っていると症状が強くなったり、掃除機などで中腰が続いたり、ゴルフなどのスポーツや長時間の運転などで悪化する事が多いです。
整形外科では鎮痛剤の処方やひどい場合にはブロック注射などが行われる事もあります。
最近ではリリカと言った薬の処方もあります。
このような整形外科での治療や梨状筋のストレッチなどでも改善しない場合、梨状筋ではない部分に原因がある可能性が高いです。
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整形外科での治療では良くならない事も多い
もし整形外科での治療で改善しない場合、多くのケースで「筋膜」に異常があります。
筋膜には痛みを感じる神経(自由神経終末)が埋め込まれています。
そして筋膜が固まってしまうとこの神経が誤作動を起こし、誤った情報を脳に伝えてしまいます。
つまり炎症や傷が無いにも関わらず、殿部やももの裏側の痛みに痛みがあると認識してしまうのです。
なので炎症を抑える鎮痛剤を使っても痛みは変わらないんです。
リリカは脳内の痛みを処理する神経の興奮を抑える薬ですが、原因は末端部の神経の誤作動なので、やはり効果が薄いです。
ブロック注射は末端部の神経を麻痺させるので、一時的には効果がある場合がありますが、根本的な原因を取り除いているわけではないので、すぐに戻ってしまいます。
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お尻周りの治療では変わらない事が多い
ですので梨状筋症候群では、原因となっている筋膜をほぐす必要があります。
しかし残念ながらストレッチでは筋肉は伸ばせても筋膜をほぐす事は難しいです。
また筋膜の特徴として、症状が出ている部分(梨状筋症候群ではお尻やもも)ではないところの筋膜(例えば足首や膝周り)が硬いと、それが段々と周りの筋膜を硬くしていってしまいます。
そして最終的にお尻周りの筋膜を硬くしてしまい、梨状筋症候群の症状が出てきてしまいます。
ですので梨状筋やお尻周りをほぐしただけでは変わらない事がよくあります。
そのため的確に原因部位を見極めて施術していく必要があります。
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本当の原因を見つけるには!?
ではどうやったらその原因部位が見つけられるのでしょうか?
それには問診と触診があります。
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①問診
問診では今の状況はもちろんですが、特に大事なのが「過去」の痛みやケガについてです。
と言うのも筋膜が硬くなる主な原因として「不動」や「ケガ」があるからです。
不動というのは筋膜を動かさない状況が続くという事です。
例えば骨折や捻挫などで長期間ギプスやテーピングで固定していると、その周囲の筋膜は固まってしまいます。
ケガは例えば靭帯損傷や強い打撲などによっても筋膜自体に傷がついて固くなってしまいます。
似たようなものとして手術もあります。
手術も筋膜を切開するため、やはり固まってしまいます。
こう言った原因でお尻とは離れた部分、例えば足首や膝周りなどの筋膜が硬くなると、少しずつ周囲の筋膜を硬くしていってしまいます。
そして最終的にお尻周りやふとももの筋膜も硬くなってしまうと、そこにある神経が誤作動を起こし、痛みや痺れと言った梨状筋症候群の症状が出てきてしまいます。
これが梨状筋症候群のメカニズムです。
ですから梨状筋症候群が起こるより過去に、骨折、ケガ、手術などがあったかどうか、それがとても重要になります。
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②触診
過去にあった骨折やケガなどの部分の筋膜は硬くなっている可能性があります。
そのためそのような部分の周囲の筋膜をくまなく触診しています。
最終的には触診によって硬くなった筋膜を見つけ出していきます。
全く関係ないところを施術しても症状は変わらないため、この触診が筋膜調整で最も重要な項目になります。
お尻やももの痛みなのに、足首近くの筋膜をほぐすだけで痛みが激減する事もよくあります。
実際には3〜5ヶ所の筋膜をほぐす事が多いです。ただし症状の出ている部分は基本的には施術しない事が多いです。
なぜならその部分は結果として硬くなっているので、他の部分にある原因を緩めれば、お尻周りの筋膜も緩んで来るからです。
もし整形外科でなかなか治らないお尻やももの痛みは、もしかしたら筋膜が原因かもしれません。
ですので梨状筋症候群でお困りでしたら、一度筋膜をチェックしてもらうのをオススメ致します。
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