手根管症候群とはどんな病気?
手根管症候群とは指の神経が通る手根管というトンネルの中で、何らかの原因によって指の神経が圧迫され、指の痛みや痺れが出る疾患とされています。
原因は色々あって、例えば妊娠・出産期のホルモンバランスの変化による手根管の中のむくみ、手や指の使い過ぎ、ケガや骨折などによる影響などが言われています。
テストとしては両手の甲を合わせて押しつけるようにすると、しばらく経って痺れが悪化するようなら手根管症候群が陽性となります。
症状は初期には中指と人差し指のしびれや痛みが出てきます。
最終的には薬指の半分と親指にも症状が出てきたり、手の強張りなども出てきます。
整形外科での主な治療法は、鎮痛剤、ビタミン剤、安静、局所注射などが行われるようです。
重症の場合には内視鏡などによる手術も行われる事もあります。
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手根管症候群が起こるメカニズムとは?
このような治療を受けられる方が多いとは思いますが、実際にはなかなか改善しないケースも多く見られます。
なぜなら原因が「手根管」にない事がほとんどだからです。
手根管が原因であれば整形外科での治療で良くなるはずですし、再発する事もないはずです。
しかし実際には良くならなかったり手術したのに再発してしまう事もよく見られます。
実は手根管の内圧が高まるのには大きく2つの原因があります。
一つは身体の歪みによって循環が悪くなっているためにむくみが生じて神経を圧迫してしまうため
もう一つは筋膜が硬くなることで手根管を構成してる靭帯などの緊張が高まり、神経を圧迫してしまうため
こう言った原因があるため、手根管症候群は手根管の治療だけをしても良くなって行かないんです。
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どのようにして手根管症候群を解消していくのか?
①全身の歪みの解消
身体は疲労などにより自然と歪んでいきます。
身体が歪むと血管が圧迫されるため循環が悪くなってしまいます。
特に頭の付け根、手足が重要な部分になります。
頭の付け根が歪むと中を通っている神経が圧迫されて全身の自律神経が過剰に興奮してしまいます。
自律神経が過剰に興奮すると全身の緊張が強くなり、ますます血流が悪くなってしまいます。
手足は身体の末端部分であり重力の影響を受けやすい場所です。
この部分も疲労によって歪みやすく、そうすると末端方向へ筋膜が引っ張られるため全身の歪みや緊張を引き起こし、血流悪化を招きます。
そのためまずは枕や手技を使って全身の歪みを取っていく事が必要になっていきます。
これらの方法は痛みもなく、かつすぐに反応が出るため、最初の治療として必ず行うようにしています。
そして歪みが矯正され全身の緊張が和らいでくると循環も改善して、手根管部分のむくみなどが解消されていきます。
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②筋膜バランスの改善
手根管を構成している靭帯や周囲の組織は筋膜と連結しているため、筋膜の緊張があると手根管部分は圧迫されてしまいます。
ですが手根管周囲の筋膜を緩めればいいと言う事でもありません。
筋膜は全身で連結して緊張のバランスを取っています。
どこかの筋膜が硬くなるとバランスが崩れて他の部分の筋膜も硬くしてしまいます。
つまり手根管周囲の筋膜の硬さは、他のどこかにある筋膜の硬さから引き起こされているんです。
ですのでそのどこかにある硬くなった筋膜を丁寧に探し出す事がとても重要になってきます。
そのために詳細な問診と細かい触診によって原因部分を特定していきます。
原因であろう筋膜を探し出したら、そこをしっかりと緩めていきます。
最初は痛いのですが、段々と緩んでくると痛みが減っていくので、患者さん自身も緩んできたのを実感できるかと思います。
だいたい3〜6ヶ所くらい緩める事が多いです。
このようにして原因となる硬くなった筋膜を緩めると、全身の緊張バランスが改善されて、手根管の靭帯や周囲の組織の緊張がほぐれて、神経の圧迫を改善させる事ができます。
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執筆者
山﨑 智史(やまざき さとし)
保有資格
理学療法士・鍼灸マッサージ師
講習会参加歴
・筋膜マニピュレーション国際コース 全コース修了(延200時間以上)
・疲労回復整体