坐骨神経痛の原因と一般的な治療法
坐骨神経痛とは、坐骨神経の領域に痛みや痺れが出る症状の事を指します。
坐骨神経の領域は腰や殿部、ももの外側から後ろ側、下腿の内側以外、足先など、脚の広い範囲に分布しています。
坐骨神経痛ではこれらの領域の一部あるいは全部に症状が出る可能性があります。
坐骨神経痛の原因は様々ありますが、一般的に言われているのは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、梨状筋症候群などが原因として挙げられます。
腰椎椎間板ヘルニアは比較的若い方に多く、腰椎の椎間板が外へ出てしまい、坐骨神経の大元を圧迫してしまいます。
腰部脊柱管狭窄症は神経の周りにある背骨できた空間(トンネル)が狭くなる事で神経を圧迫して症状を出してしまいます。
梨状筋症候群は坐骨神経の通り道の上にある梨状筋という筋肉の張りや緊張によって坐骨神経を圧迫してしまいます。
一般的にはこのような原因によって坐骨神経痛という症状が起こるとされています。
整形外科での治療法としては主に痛み止めの服用、ブロック注射、マッサージやストレッチなどのリハビリが行われ、重度の場合には手術になる事もあります。
ですが、実際にはこれらの治療でも良くならない方は多くいらっしゃいますし、良くなったとしてもすぐに再発してしまう方もいらっしゃいます。
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坐骨神経の圧迫が原因じゃない!?
なんでこのような治療で良くならない事が多いかと、それはそもそもの原因が違うからなんです。
坐骨神経痛の原因の前提となっているのは神経の圧迫です。
ですがそもそも神経を圧迫すると痛みや痺れが出るというのが違っているという事はもう20年以上前から分かってきています。
神経が圧迫されて出る症状は筋肉の麻痺(動かなくなる)、感覚の麻痺(触られたり温冷の感覚が鈍くなる)です。
なので痛みと神経の圧迫は因果関係がないんです。
ですので神経の圧迫を取る治療をしても良くならないですし、もちろん神経を麻痺させるブロック注射の効きも一時的になり、根本的な解決にはつながりません。
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坐骨神経痛の原因は「筋膜」にある
では坐骨神経痛の原因は何かというと、それは「筋膜」の硬さになります。
筋膜の中には痛覚を始め、様々なセンサーが埋め込まれています。
そして筋膜が硬くなるとこれらのセンサーが誤作動を起こす事が分かっています。
ですので痛みはもちろん、様々な感覚が鈍くなったりします。
そのためこの硬くなった筋膜を緩めてあげるとセンサーの誤作動がなくなって正常化するため、痛みは抜けていきます。
実際に治療する際も硬くなった筋膜の部分はとても過敏で、軽く触れたくらいで強い痛みを感じる事があります。
これは触れられると言う感覚(触圧覚)が痛み(痛覚)として認識されるためなんです。
そして筋膜を緩めていくとある時痛みがフーッと抜ける瞬間があります。
これは筋膜が緩む事でセンサーが正常化し、触れられる感覚は触圧覚として正常に認識されるからです。
ですので筋膜へアプローチする事が坐骨神経痛の根本的な解消につながります。
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どうやって坐骨神経痛を解消していくのか?
ではこれまで出てきた「筋膜の硬さ」をどうやったら見つけられるかですが、これは触診によって行われます。
筋膜の硬さは筋肉の張りや凝りとは違った感触があります。
しかも坐骨神経痛の出ている所に原因があるとは限りません。
離れた所や関係なさそうな所にもあります。
症状の部分にとらわれずに一ヶ所一ヶ所丁寧に探っていくと硬くなった筋膜が見つかります。
あとはそこが緩むまで施術していきます。
原因となっている筋膜を緩めると一ヶ所だけでも痛みや感覚、動きがかなり変わってきます。
しかし筋膜の厄介な所は、最も問題となっている硬い筋膜は、最初から出て来てない事がよくある事です。
本当はそこを緩めないといけないのですが表面化してないので最初は分からない、、、です。
このような場合は最初に出ている硬くなった筋膜を緩める事で、身体の筋膜バランスが変わり、最も問題となっている筋膜の硬さが表面化してきます。
それが一回の施術の中で出てきてくれる事もあれば、何回か施術していくと出てくる場合もあります。
もちろん周りの筋膜を緩めるだけでも症状は軽減していきますが、この最も問題となっている筋膜を緩めると劇的に変化していきます。
もし何をやっても治らなかった坐骨神経痛をお持ちでしたら、ぜひ一度筋膜調整を受けてみてください。
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執筆者
山﨑 智史(やまざき さとし)
保有資格
理学療法士・鍼灸マッサージ師
講習会参加歴
・筋膜マニピュレーション国際コース 全コース修了(延200時間以上)
・疲労回復整体