手根管症候群と筋膜
手根管症候群は手にある手根管というトンネルが狭くなることで、指の神経が圧迫されて痺れが出るとされている疾患です。
そのため整形外科では安静にする、ビタミン剤や消炎鎮痛剤の服用、重症になると手術になります。
ですがそれでは良くならない事は別のコラムに載せたように、当院に来られる方もそうで、薬が効かない、手術したけど再発したと言う人が本当に多いんです。
手根管が狭くなるのは結果であって、原因ではないんです。
手根管というのは靭帯によって構成されていますが、実は筋膜の緊張の影響を受けています。
手はもちろん、前腕や上腕、肩や首周りなどの筋膜が何かしらの原因によって緊張すると、それが手根管を引っ張り歪ませてしまうため、手根管が狭くなってしまいます。
ですのでこの筋膜の緊張のアンバランスを整えてあげると手根管の症状が軽減していきます。
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筋膜調整の手順
ではどのようにして筋膜の緊張を整えていくか、それをご紹介します。
筋膜のバランスが崩れる要因は、どこかに硬くなった筋膜があるからです。
硬くなった筋膜があるとそこから筋膜が引っ張られて最終的に手根管の歪みを作ってしまいます。
ですのでどこかにあるその硬くなった筋膜を探すところから始めていきます。
主に探して行くところは首肩から手首辺りまでで、実際に触りながら判断していきます。
筋膜が硬いところは少し押すだけでもかなりの痛みが出るのと、施術者側もザラザラとした感触を感じます。
大体10〜20ヶ所は確かめますし、多い時には30ヶ所以上チェックしていきます。
その中から硬い順に筋膜を緩める施術をしていき、実際の痛みがどう変化したのか確かめながら次の部分へすすめていきます。
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手根管症候群において硬くなりやすい部分とは?
実際はこのようにして触りながら硬いところを見つけていきますが、手根管症候群ではある程度硬いところがパターン化しています。
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①胸・肩・上腕
②肘・前腕・手首
ほとんどのケースで図の部分(⚫︎)のどこかに硬さが見られます。
これを見て頂くと分かると思いますが、症状が出ている手のひらや指は触りません。
手根管症候群に限りませんが、症状が出ているところには基本的に筋膜の硬さはないんです。
それなのに痺れている所をいじってしまうと良くならないどころか悪化してしまうリスクがあります。
そして一つずつチェックして、基本的には硬いところは全て施術します。
ですが実際には一番悪いところを緩めるとそれだけで筋膜バランスが変化し、最初に触って悪かった他の部分が正常化していたりします。
ですので実際には1回の施術で3〜6ヶ所くらい、施術する事が多いです。
施術は最初は痛いのですが、緩んでくると痛みが引いてきて楽になるのを感じ取っていただけると思います。
一ヶ所完全に緩まるのに早いところで3分ほど、長いと10分ほどかかります。
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2回目以降の身体の変化について
このようにして筋膜のバランスを調整し、手根管を正常化させる事で、痺れの解消を目指します。
しかし実際の身体と言うのはなかなかに複雑で、初回でチェックした際には現れていなかった筋膜の硬さが、2回目以降現れてくる事がよくあります。
これはどう言う事かと言うと、筋膜のバランスが変化する事で、隠れていた硬さが顕在化したという事です。
これは身体に取っては良い傾向で、隠れていた筋膜と言うのはより根本的な原因になっている事が多いからです。
ですので施術を重ねる毎にどんどん根本的な原因に近づいていきます。
同様な理由で痺れや痛みの部分が移動する、と言う事も見られます。
これも筋膜バランスが変わる事で生じる現象で、やはり身体に取ってはいい変化です。
今回は手根管症候群における筋膜施術の手順、好発部位、2回目以降の変化などについてご紹介してみました。
少しでも手根管症候群の筋膜調整についてイメージが浮かんで頂ければ幸いです。
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執筆者
三軒茶屋α整体院 院長
山﨑 智史(やまざき さとし)
保有資格
理学療法士・鍼灸マッサージ師
講習会参加歴
・筋膜マニピュレーション国際コース 全コース修了(延200時間以上)
・疲労回復整体
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