筋膜整体の流れ
これまでのコラムで腱鞘炎の原因は「腱」自体には無く、周囲の筋膜にある事をお伝えしてきました。
ですが実際に筋膜へどうやってアプローチしているのか分かりづらいと思います。
ですので今回はご来院いただいてからお帰りになるまでの流れをご紹介していきたいと思います。
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問診票の記入〜問診
まずは問診票にご記入頂きます。
問診票では腱鞘炎の痛みについてはもちろんですが、過去にあったケガや手術などについて書いて頂きます。
また一見関係ないかと思われますが、内科的な不調や耳鼻科などの不調についてもチェックしてもらっています。
その後は着替えて頂いてから問診に移ります。
(お着替えはこちらでご用意していますので、お持ち頂かなくても大丈夫です。)
問診では問診票を参考にしながらお話をお伺いします。
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①過去にケガや痛みがあったか?
まずは現在お困りの腱鞘炎について詳しくお伺いします。
しかし筋膜整体において一番大事なのは過去の症状についてです。
今起きている腱鞘炎は、実は過去の痛みやケガ、手術などが影響しています。
その部分から筋膜が硬くなり、数年、十数年かけて筋膜のバランスを崩していきます。
その結果、腱の周囲の筋膜が硬くなり痛みを引き起こしてしまっているんです。
そう言った場合、腱周囲の施術だけでは改善が難しく、過去のケガなどがあった周囲から腱までの間にある、硬くなった筋膜を調整する必要があります。
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②内科的な不調はあるか?
同じような理由で内科的な不調の確認もしていきます。
内科的な不調があると内臓の筋膜が硬くなり、それが表面にある筋膜を硬くしてバランスを崩します。
例えば胃の調子が悪い時に背中が痛むと言った現象も、筋膜のバランスが崩れた結果なんです。
ですので今現在のものはもちろん、過去の内科的な不調も確認します。
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状態の確認
腱鞘炎の場合、痛みが出る動きの確認や、腫れ、圧痛などがあるかどうかも確認します。
これは施術の前後でどれくらい症状が変化したか、比較するために行います。
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触診
筋膜整体で最も重要な項目が触診です。
実際に施術すべきポイント、つまり原因となっているポイントを見つけ出すには触診しかありません。
全身で400個近くあるポイントから原因を探り出していかなければなりません。
しかしそれらを全てチェックしていたらそれだけで時間が過ぎてしまうので、問診で関連のある部分に絞ってチェックしていきます。
また実際は腱鞘炎の場合、原因部分は患部側の上半身に限られる事が多いので、まずはそちらの上半身を細かくチェックしていきます。
基本的には鎖骨周りや肩甲骨周りから手首まで30〜50ヶ所くらいチェックして、その中で原因を見つけ出します。
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筋膜整体施術
触診で原因部位となる硬くなった筋膜をいくつか見つけ出したら、一番硬いところから施術していきます。
原因部位を圧迫しながらこすっていく事で、「摩擦」という物理的な刺激に加え、摩擦による「熱刺激」が入る事で筋膜が緩んでいきます。
最初はとても痛いのですが、緩んでいくと痛みが無くなるので、緩んだ実感も得られるかと思います。
そして一ヶ所緩めたら、【状態の確認】であらかじめ確認していた、腱鞘炎の痛む動き、腫れ、圧痛などを再確認していきます。
これにより今の施術が合っていたかどうか、またどれくらい効果があったか、次にどこを施術すべきか、などを判断していきます。
軽症の人はこれだけで痛みが無くなる事もよくあります。
その後も施術→確認を繰り返して、痛みの解消を目指します。
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2回目以降の施術について
多くの場合、一回で完全に腱鞘炎が解消される事はありません。
なぜなら過去に数年、十数年かけて崩れてきたバランスを戻すのには、身体の自己修復能力にかかっている部分があり、それには相応の時間がかかります。
また初回の施術では出てこなかった筋膜の硬さも、2回目以降にはっきりと出てくる事もあります。
そしてこのように隠れていた部分こそが真の原因となっている事が本当に多いんです。
このような現象は、初回の施術で身体のバランスが変化してくれる事で起こる事なので、やはり自己修復能力の影響を受けます。
そのため軽症だったり、若くて運動習慣があり、生活リズムが整っている人ほどすぐに腱鞘炎が解消されます。
その逆の場合だとどうしても時間がかかりますが、それでも施術を重ねるたびに一歩ずつ改善していくのを実感してもらえると思います。
それほど筋膜への施術は変化が見られる施術なんです。
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執筆者
三軒茶屋α整体院 院長
山﨑 智史(やまざき さとし)
保有資格
理学療法士・鍼灸マッサージ師
講習会参加歴
・筋膜マニピュレーション国際コース 全コース修了(延200時間以上)
・疲労回復整体
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