手根管症候群の一般的な治療
当院には手根管症候群でお困りの方が多く来院されますが、皆さん当院に来るまで色々な治療を受けてきています。
今回のコラムでは、なぜ一般的な治療では手根管症候群が改善されないのかについてご紹介しようと思います。
まず大抵の治療における根本的な問題としてあるのが、症状と原因の因果関係が間違っている、と言う点です。
一般的に手根管症候群とは「手根管」というトンネルが狭くなる事で、その中を通る指の神経を圧迫してしまい、指のしびれが出てしまうとされています。
あるいは手根管の中で炎症が起こっているためだとされています。
そのため治療は「手根管」に対して行われる事がほとんどです。
因果関係が合っているならそれで改善されるはずですが、全く変わらなかったり少し良くなってもすぐに戻ってしまったりと言った事が起こるため、やはり因果関係がズレていると考えています。
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まずは整形外科へ行きましょう
ある程度の期間、指の違和感やしびれを感じ続けていたらまず整形外科に行かれると思います。
これは非常に大切な事で、指のしびれと言っても様々な原因・病気があり、中には重篤な病気が原因かもしれませんので、まずは病院でそのような可能性があるかどうかを判断してもらう必要があります。
問題なのはその後です。
脳などの重大な問題が除去され、手根管症候群だと診断された時に、いくつかの治療を提案されます。
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整形外科での治療
①薬物治療
まず多いのが薬での治療です。塗り薬、貼り薬、飲み薬などの痛み止め、ビタミン剤などが一般的で、時に神経障害性疼痛治療薬などが処方される事もあります。
また症状がひどい場合にはステロイド剤や麻酔薬を手根管の中へ直接注射する事もあります。
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②安静・サポーター
薬物療法と並行して行われると言うか言われるのが安静にして下さい、というもの。
手首を動かさない事によって手根管やその中を通る腱を動かさないようにして、手根管の中の負担を減らすと言う方法です。
サポーターを着けて動きを制限するように言われる事もあります。
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③手術
特に重症の場合、手術を勧められる事があります。
手根管の天井に当たる靭帯部分を切って開ける事で、神経の圧迫を取り除くと言う物になります。
手術自体は30分程度で終わり日帰りできるようです。
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整形外科での治療がなぜ効かないのか?
だいたい整形外科で行われる治療は以上の通りです。
しかしほとんどが良くならない、あるいは少し良いと思ったらすぐに戻ってしまうのが多く見られます。
そもそも手根管症候群のしびれや痛みが手根管の圧迫や手根管内の炎症によって引き起こされている、と言うところが違っているので、それを解消しようとしても症状は良くなっていきません。
痛み止めの薬は炎症を抑えるために行われる治療ですが、炎症が原因であれば症状も良くなると思います。
ですが実際は症状が変わらないです。
ちなみにステロイド注射や局所麻酔は強力な薬なため、一時的にしびれなどが軽減する事はあります。
しかしあくまでも一時的な鎮痛作用であり、根本的な治療ではないため、割とすぐに再発しますし、注射自体が段々効かなくなってきてしまいます。
また安静は最悪の治療法です。
そもそも場所が場所なだけに安静にできないと言う問題と、動かさないように固めれば固めるほど筋膜が硬くなり症状は悪化していき、治りづらくなっていきます。
安静にしてたら良くなったと言うのはよっぽど軽症な場合に限ります。
手術は一定の効果が出る事があります。ただリスクも大きい事は知っていて欲しいです。
まず手術後は握力が落ちます。半年くらいで戻るとされていますが、リハビリも大変です。
また手術すると言う事は筋膜を切るあるいは傷付ける事になります。
筋膜の特性として切ったり傷つくとそこからどんどん固くなっていくと言うのがあります。
それが数年、十数年かけて広範囲の筋膜を固めてしまい、別の痛みや痺れの原因となってしまいます。
ちなみに手術してものちのち再発する事もあります。
ですので可能ならば手術の前に別の治療法を試された方がいいかと思います。
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執筆者
三軒茶屋α整体院 院長
山﨑 智史(やまざき さとし)
保有資格
理学療法士・鍼灸マッサージ師
講習会参加歴
・筋膜マニピュレーション国際コース 全コース修了(延200時間以上)
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