筋膜が悪くなるとテニス肘が起こる理由
前回のコラムではテニス肘の原因は使い過ぎや炎症ではなく、「全身の筋膜のアンバランス」によるものだとお伝えしました。
筋膜は全身つながっているため、どこかの筋膜が歪むとそれが全身に広がっていき、最終的に肘の周囲の筋膜を歪ませます。
その結果肘には過度な負荷がかかりやすくなると共に、筋膜に埋め込まれている痛みセンサーが誤作動を起こすため、痛みを「感じ」てしまいます。
そのためいくら肘の周囲を緩めたり、安静にして炎症が治まるのを待ったりしても、筋膜のアンバランスを作り出している大元の筋膜の歪みを解消し、肘の筋膜にある痛みセンサーを正常化しなければ、いつまで経っても改善しないですし、一旦良くなったと思っても競技を再開したらまた痛みが再発してしまいます。
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筋膜が歪む原因
ではどうしたら筋膜が歪んでしまうのでしょうか。
その原因は主に3つあります。
①筋膜の不動(筋膜を動かせない・動かさない状況)
②筋膜の損傷(筋膜が傷つく)
③内臓の不調
今ではなく「過去」にこのような状況があった場合、その状況が起こっていた部分の周囲の筋膜が硬く歪んでしまいます。
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①筋膜の不動
固定などによって筋膜を動かさないでいると、筋膜は硬くなります。
具体的には骨折や捻挫などによって、長期間ギプスやサポーター、テーピングなどで固定していた事があると、その部分の筋膜が動かされず硬くなってしまいます。
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②筋膜の損傷
骨折や突き指、靭帯損傷、半月板損傷、繰り返される捻挫など様々なケガ(外傷)が起こると、その付近の筋膜が傷つき硬く歪んでしまいます。
そのため、過去にそのような事があった部分の筋膜には歪みが起こってしまいます。
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③内臓の不調
内臓も筋膜で包まれていて、すべての内臓が筋膜によって連結しています。
そして内臓の筋膜は体表面の筋肉を包む筋膜とも連結しています。
内臓の不調(内科的な不調)があると、内臓の筋膜に歪みを生じます。
そうするとその歪みが体表面の筋膜に広がって筋肉の筋膜を歪ませ、それがさらに広がっていき、肘の周りの筋膜を歪ませてしまいます。
このように内臓の不調かからテニス肘を引き起こすこともよく見られます。
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どのような部分(どのような既往歴)が原因となりやすいか
特にテニス肘では腕や手、胸周り、首や顎周りに筋膜の歪みがあった場合、発症する事が多く見られます。
例えば以前指や腕を骨折したことがある、腱鞘炎で手首や指を固定していた事がある、肩が痛かった時期がある、むち打ち症になったことがある、顎関節症があった、小さい頃喘息があった、最初は左肘が痛かった、、、など、本当に色々なケースがあります。
そのような部分から筋膜は硬く歪んでいきます。
そして過去に出来てしまった筋膜の歪みが広がっていき、最終的に肘の周りの筋膜も歪ませ痛みを引き起こしてしまいます。
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