ジャンパー膝とは?
ジャンパー膝とは通称で、正式には膝蓋靭帯炎(しつがいじんたいえん)と言います。
膝蓋靭帯というのは膝のお皿の下にある靭帯です。
筋肉としてはももの筋肉である大腿四頭筋(だいたいしとうきん)が腱になっている部分です。
ジャンパー膝と言う通り、バレーボールやバスケットボールで繰り返しジャンプしたり、サッカーやテニスのようにダッシュする競技で起こりやすい痛みです。
いわゆるオーバーユースのために起こり、この大腿四頭筋の硬さが原因とされています。
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一般的なジャンパー膝の治療
ジャンパー膝の原因は大腿四頭筋の硬さにあるため、この筋肉を緩めるような治療が行われます。
状態によりますが、運動後のみに痛みが出るような場合は、アイシングを徹底して、大腿四頭筋のストレッチを入念に行います。
運動自体に支障を来たす様な場合は、まず安静になります。
そして大腿四頭筋のストレッチはもちろん、下肢全体のトレーニングを行い、大腿四頭筋の負荷を減らす様にしていきます。
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一般的な治療の問題点
まずそもそもの原因として大腿四頭筋だけにフォーカスしている事が問題です。
確かに大腿四頭筋が硬くて負荷がかかり、膝蓋靭帯の炎症が起こるのは事実です。
本当に軽症であれば大腿四頭筋のストレッチやアイシングでも良くなると思います。
しかし問題なのは中等度以上の状態です。
この場合だと単純に大腿四頭筋の硬さだけが問題ではありません。
体の様々な部分の硬さが原因となり体のバランスが崩れているために、膝に負担がかかってしまっているからです。
そのためこのようなバランスを取らない限り大腿四頭筋や膝への負担が減らず、ストレッチやアイシング程度では良くならなかったり、すぐに再発してしまいます。
同じ様な理由で中等度以上だと安静も効果が薄いです。
安静にしていると段々と痛みは減っていきますが、また練習を再開すると痛みが出てきてしまいます。
やはり根本的な問題を解決しない限りは、痛みなくプレーするのは難しいかと思います。
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では下肢を鍛えればいいのか?
これも実はリスクが高いです。
一つは膝や大腿四頭筋への負担が取れていない状態で筋トレをすると、ますます負担が増える可能性があります。
もう一つはそもそもバランスが崩れているため、その状態で筋トレをすると他の部分の負担が増え、例えば足首や股関節などを痛めてしまう可能性があります。
ですので順番としては、下肢のバランスを整えて膝の負担と痛みを解消し、それからストレッチや筋トレをしていくのが、新たな痛みを出さずにできる適切な方法です。
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どうやってバランスを整えるのか?
バランスが崩れているというと骨盤などの歪みをイメージする方も多いと思います。
しかし歪みは骨格だけではなく、筋膜にも起こります。
筋膜は全身で連結していて、全身の緊張のバランスをコントロールしています。
しかし筋膜のどこかが硬くなるとバランスが崩れてしまい、どこかの部分に負担がかかるようになってしまいます。
例えばジャンパー膝であればももの筋膜よりも、足首や股関節周りの筋膜が硬くなっている事が多いです。
そのためこれらの筋膜の硬さを取っていくと、筋膜のバランスが整い、結果として膝への負担が減っていきます。
もちろんジャンパー膝だから必ずそこに原因があるとは限らないため、少なくとも腰から足先までの筋膜はチェックしていきます。
そこで見つけ出した硬くなった筋膜を手で緩めていきます。
ももや膝周りをやらなくても良くなるの?と思うかもしれませんが、それでも痛みは軽減していきます。
まだなじみがない治療法なので少しイメージしづらいかもしれませんが、施術を受けていく毎に段々とどういう治療か分かってきたという方がほとんどです。
もし整形外科や他の治療で良くならなかったり、安静にしててもすぐに戻ってしまう方はぜひ一度筋膜整体を受けてみて下さい。
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執筆者
三軒茶屋α整体院 院長
山﨑 智史(やまざき さとし)
保有資格
理学療法士・鍼灸マッサージ師
講習会参加歴
・筋膜マニピュレーション国際コース 全コース修了(延300時間以上)
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